なかなか眠れない入眠障害※の改善・対策は原因によって色々な方法があります(入眠障害の症状や原因については↓の記事に書いています)。※入眠障害は不眠症の一種です。
この記事では「ストレスや不安や心配事でなかなか眠れない」という方や、「考え事をし過ぎて寝つきが悪くなっている」という方向けに改善・対策法について詳しく書いています。
また、日頃から意識すると寝つきを良くなることも紹介しています。
それぞれの項目に書いてあることをすべて実践する必要はありませんし、どれか一つでもできることをやってみるとそれなりに効果が出ると思います。
この記事の目次
ストレスや不安等でなかなか寝付けない入眠障害の改善や対策|ポイントはリラックス
まず、眠るためには副交感神経が優位にならないと眠れません(副交感神経が作用することで体がリラックスし、体の筋肉が緩んで、深部体温が下がり眠りやすくなります)。
ですが、ストレスや不安や心配事等でなかなか寝付けない人は、副交感神経の反対の交感神経が優位に働いていて、脳や体が夜になっても一種の緊張・興奮状態で眠れなくなっています(交感神経は日中活動するための自律神経で、日中は交感神経が優位に働くことで仕事や勉強などを活動的に行えます)。
簡単に言えば、ストレスや不安等でなかなか寝付けない人は、交感神経→副交感神経を優位に働かせる必要があり、脳や体をリラックスさせることが大事なわけです。
正直、リラックス方法はなんでも構いません。
例えば、「寝る前に読書をする」「寝る前に音楽を聴く」等、色々あります。(もちろん、後述もしますがこういったリラックス方法が寝る前にお菓子を大量に食べたりする等は逆効果になります)。
- 寝る前に読書をする…難しい本を読むとβエンドルフィンが脳に作用し眠りやすくなる(個人差あり)、読みなれた漫画本やコミックや雑誌ならリラックス効果が期待できる
- 寝る前に音楽を聴く…なるべく単調な曲or聴くとリラックスできる曲、アップテンポな曲はNG
究極のリラックス法はお風呂?
ただ特別リラックスできる方法が何もなくても、湯船に浸かるだけでも実は体の緊張がほぐれ副交感神経を優位に働きます。
また副交感神経を優位に働くことも含め、湯船に浸かることは睡眠にとっていい効果があります。
- 血流が良くなるので体が副交感神経を優位に働く
- 湯船に浸かることで体の深部まで暖まる(体は一旦暖まり、汗をかいて体温が下がることで眠くなる)
特に冷え性や肩こりや頭痛が原因で寝つけない人にも、湯船に浸かることは効果があります。
ちなみにシャワーだけでは体の表面までしか暖まらないので、普段シャワーだけで済ませている人は、湯船に浸かるだけでその日から寝つきが劇的に良くなる人もいます。
リラックスしても寝床に入ると色々なことが頭に浮かんでやっぱり眠れない時の対処法|メモでアウトプットする?
ただ、どうしてもリラックスして寝床に入っても、不安や心配事が頭に浮かんできて眠れなくなる場合は、「メモやノートに思っている不安や心配事を書きだす」という対処法もあります。
例えば、「明日の仕事は東京に出張、新宿にある取引先で、上司と一緒にプレゼンをしなければならない」というように明日の仕事について考えて眠れなくなるときは、以下のようにノートやメモに書き出します。
メモ書くときのポイントは、文章や感情的なことは書かずに単語だけを書くことです。そして書き終わったらまた寝床につきます。寝床についてもまだ新たなことが浮かんできたら、また寝床から出てメモを書き出すということを繰り返します。
何故こういったノートやメモに書きだす方法が有効かというと、不安なことや心配事を考える時には前頭葉が活発に働いていてしまい、物事をより複雑に考えてしまい脳が活発に動き出してしまいます。
この前頭葉の働きは頭頂葉という単純作業をつかさどる脳の働きを高めると鎮まるようになっています。なので、思い浮かぶことを単語で抜き出してメモをする単純作業を行うことで、脳の前頭葉の働きを鎮めやすくなるのです。
逆に、感情的な文章や日記のような文章を書くと、前頭葉や言語野が活発に動き出して、脳が目覚めてしまうので注意が必要です。
日頃から出来る寝つきを良くする方法(色々)|起床時間がカギ?
また他にも、寝つきの悪い入眠障害に効果のある日頃からできる対策や改善方法もあります。
- 夕方に運動する
- 朝食にトリプトファン、夕食は辛い食事
- カフェイン入りの飲み物やタバコを寝る前には控える
- 寝る前に強い光に当たらない
- 起床時間を一定に保つ※一番効果がありおすすめ
1.夕方に運動する
夕方の運動は寝つきを良くする効果があります。
何故かというと、日中や夕方までに運動することで体の深部体温を上がり、夜になると上がった深部体温が下がりやすくなり入眠がスムーズになります。
そもそも、寝つきを良くするためには、ある程度の肉体疲労が必要になってきます。
特に高齢者などの入眠障害になっている方にはおすすめで、どうしても定年退職以降は日中の活動量が極端に少なくなるため、昼と夜とで深部体温の差が生まれにくく、寝つけなくなる人が多くなります。
ただ、遅くても就寝の2~3時間前までに激しい運動を終えておくのが理想です。深部体温が下がるのには最低でも2~3時間かかるので、寝る前に激しく運動すると深部体温も高く交感神経を優位に働いて逆に眠れなくなります。
もし残業ばかりで寝る2~3時間前は運動する時間などないという場合は、普段の駅よりも一駅前で降りて歩いたり、もしくは少し遠回りで歩いて帰ったりと工夫をすることが大事ですね。
2.朝食にトリプトファン、夕食は辛い食事
そして、2つ目に寝つきを良くするために効果的なのが朝と夜にどういった食事をとるかです。
朝はトリプトファンの含まれている食べ物、夜は辛い食事が寝つきが良くなりやすくなります。
- 朝にトリプトファンを含む食材を食べることで、トリプトファンが約10時間かけて体の中で睡眠ホルモンであるメラトニンに変化する
- 夜に辛い食事をとることで、体の深部体温が上がりやすくなり、寝る前にその上がったリバウンド効果で深部体温が下がり眠りやすくなる
- トリプトファンを含む食べ物
- 大豆製品(納豆や味噌汁等)、乳製品(牛乳やチーズ等)
- 辛い食べ物
- キムチやカレー
詳しくは↓の記事でも書いています。
関連記事:睡眠や不眠に良い食べ物とは?朝食の味噌汁が効く!?
ちなみに夜に食事をとるときは、なるべく就寝の3時間前ぐらいには終えておきたいです。
就寝直前に食べてしまうと「寝る前の食事は体内時計が狂う?!就寝の何時間前ならOK?」でも書いていますが、食べ物を消化するために体が動いているのでなかなか寝付きにくくなります。
またその他にも、就寝直前の食事は太りやすくもなるので要注意です。
関連記事:睡眠不足って太る?睡眠時間が何時間未満だと太りやすい?
3.カフェイン入りの飲み物やタバコを吸わない
3つ目が寝る前にカフェイン入り飲み物(コーヒー、紅茶、コーラ、緑茶等)飲んだり、タバコなどはなるべく吸わないようにしましょう。
カフェインが覚醒作用があるのはよく知られていますが、タバコのニコチンにも覚醒作用があります。
できれば就寝の3~4時間前には摂取しないように心掛けたほうがいいですね。
また「寝る前の飲み物って何がいい?緑茶も飲み方次第ではOK?」で書いていますが、コーヒーをどうしても飲みたい場合は挽いたコーヒー豆の香りを嗅ぐだけにしたり、緑茶をどうしても飲みたい場合は3番煎茶(出がらし)ならカフェインはほとんど入っていません。
4.寝る前に強い光に当たらない
そして、寝る前はなるべく強い光に当たらないことです。
例えば、
- 寝る前にスマホやパソコンやタブレットを見ない
- 寝る前に電子書籍で読書をしない
- 寝る前にコンビニなどに寄らない等
夜に読書などをする場合は、なるべく間接照明で読書をすることをお勧めします。
というのも部屋が明るすぎる状態だと、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されにくくなるためです。
5.起床時間を一定に保つ※一番効果がありおすすめ
そして、最後に最も効果的なのは起床時間を一定に保つことで、寝つきが悪いのが改善されやすくなります。
何故これが効果的かというと、何時に眠くなるかは何時に起床するかで決まるからです。
通常、人は起床してから15~16時間後に眠気を感じ、その1~2時間後ほどで眠るように体の仕組みができています。
起床時間別のホルモンが分泌される時間と入眠の時間
例えば、↓の表のように朝7時に起きると夜の22時ごろからメラトニン(睡眠ホルモン)が分泌されはじめ、その後眠たくなっていきます。
起床時間 | メラトニンが分泌されはじめる時間(眠くなり始める時間) | 入眠の時間 |
---|---|---|
5:00 | 20:00~21:00 | 21:00~23:00 |
6:00 | 21:00~22:00 | 22:00~24:00 |
7:00 | 22:00~23:00 | 23:00~25:00 |
もちろん寝る時間が極端に遅く起床時間だけ動かさない場合は(例えば朝4時に寝て朝8時に起床等)、睡眠不足による日中の眠気を起こす原因となることもありますが、そういった極端に睡眠時間が短い日は体が睡眠時間を多くとり戻すために早めに眠気を感じるようになります。
まとめ
- ストレスや不安や心配事などを考えて寝つきが悪い場合は、リラックス方法を見つけるor湯船に浸かることで寝つきの悪さは改善されやすい
- リラックスしても寝床に入るとどうしても考え事が止まらなくなる場合は、メモを取るか頭を冷やす
- なかなか眠れない時は起床時間を常に一定に保つ
紹介した方法はすべて実践することはないですし、書いていることがすべての人に効果があるわけではありません。
文中でも触れていますが、個人的な経験として、寝る前に難しい本の読書は逆に内容を理解して頭が混乱し、さらに理解できない自分に対して腹立たしくなって、逆に興奮して眠れなくなったことがあります。
なので、特に不安やストレスでなかなか眠れないという方は、紹介した方法以外にも自分なりのリラックス方法を見つけていただければと思います。
とはいえ、記事のタイトルで使っているように「起床時間を一定に保つこと」や「朝にトリプトファンを含んだ食事」「夕食の辛い食事」「湯船に浸かる」等は非常に効果が期待できる入眠障害の改善策なので、どれかひとつ毎日行うだけでも変わってくると思います。