意識がハッキリしているのに体が動かない…こういった症状は一般的には金縛りと言われています。
金縛りは幽霊などによる仕業や、幽体離脱している、古くは座敷童などの妖怪が体を押さえつけている※等…非常に霊的な心霊現象のように扱われてきましたが、実はそうではありません。※柳田國男の「遠野物語」でも座敷童が体の上に乗って体が起きれないというような描写が出てきます。
睡眠障害のなかでも睡眠時隋伴症(パラソムニア)の中の一つとして数えられ、睡眠科学的に言えば金縛りは「反復孤発性睡眠麻痺」と呼ばれます。たいそうな名前はついているのですが、金縛りは多くの場合は病的な疾患ではなく誰にでも起こり得ることです。
ですが、文中でも触れますがナルコレプシー等の別の睡眠障害の可能性があったり、また睡眠障害以外の病気の可能性も稀ですがあります。
というわけで、金縛りの原因も含め、症状の特徴や対処法などについても書いているので、参考になればと思います。
金縛りの症状の特徴とは?男性特有の症状もあり?
まず、金縛りの症状は大まかに分けると以下のような症状があります。
- 意識はあるのに体が動かない
- 体が宙に浮きあがる感じがする
- 何かが胸や腹の上に乗っているような感じがする
- 心臓がドキドキしたり、呼吸が安定せずに息苦しさを感じる
- 耳鳴りや幻聴や幻覚を見る(特に強い恐怖を感じるような幻覚、例えば誰かが部屋に入ってくるなど)
そして、レム睡眠時に金縛りが起こるこもが分かっていて、特に寝入りばなのノンレム睡眠後のレム睡眠時や、寝入りばなにレム睡眠から始まる※とこういった金縛りが起こりやすくなります。
※寝入りばなは必ずノンレム睡眠ですが、寝入りばなにレム睡眠から入ることを「入眠時レム睡眠」と言います。詳しくは後述しています。
また男性であれば、陰部が勃起するというような症状も出ます。
金縛りのメカニズムはレム睡眠の異常?
そして簡単にこの金縛りのメカニズムを説明すると、↑で言っているようにレム睡眠時に起こるのですが、レム睡眠中には脳や交感神経は活発に動き、筋肉は筋弛緩状態で動かなくなっています。
ですが、何らかの原因でこのレム睡眠から目覚めてしまい、筋弛緩の働きだけ低下せず脳だけが目覚めてしまうので、意識はハッキリしているのに体は言うことを聞かずに動かないという状態になってしまうのです。
またレム睡眠中は自律神経がコントロールされずらく、金縛りに合うと心臓のドキドキや呼吸が安定せず、息苦しさ等を感じるわけです。
金縛りの原因とは?睡眠障害以外の病気が隠れている?
では、金縛りは何故起こってしまうのでしょうか?実は金縛りの原因はまだはっきりとは分かっていません。
ですが、以下のようなことが金縛りを発生させる原因と関係があることは分かっています。
- 仕事や家庭や学業等での過度な精神的なプレッシャーやストレス等による精神的な疲労
- スポーツなどでの過度な筋肉疲労
- 不規則な生活(徹夜や時差ボケや夜勤などのシフトワークなど)による体内時計やホルモンの乱れ
- 過度な緊張状態や慣れない環境など(旅行先などで眠れない等の慣れない環境で起こりやすい)
なので、↑でも触れている通り「入眠時レム睡眠」などは体が極端に疲労を感じているときに起きたりします。
ですので、心身ともに健康ではない時や、ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが崩れてしまった時に金縛りは起きてしまうわけです。
金縛りの頻度が多ければナルコレプシー?睡眠障害以外の別の疾患が隠れている可能性もあり?
また冒頭でも触れているとおり、金縛りの頻度が余りにも多く、そして長期間続くのであれば過眠症の一種であるナルコレプシー等の別の睡眠障害の可能性が考えられます。
特にナルコレプシーの際に陥る睡眠もレム睡眠で、睡眠麻痺の症状があります。詳しくは↓の記事もご覧ください。
→急に眠たくなる病気ナルコレプシーの症状とは?目覚めは良好!?
睡眠障害以外の別の疾患が隠れている可能性もあり?
またナルコレプシーなどの睡眠障害以外にも、甲状腺機能亢進症やバセドウ病による低カリウム性麻痺(低カリウム性周期性四肢麻痺)などによって、睡眠中に手足が動かなくなるといった症状もあります。
特にバセドウ病は睡眠不足やストレスと関係のある疾患でもあり、不眠などによる睡眠不足と非常に深い関係があります。
なので、金縛りが頻繁に起こるという方はこういった疾患の可能性もあるということを頭の片隅に入れておきましょう。
金縛りの対処法や治療とは?寝相で金縛り対策?
そして金縛りの対処法や治療について触れておくと、まず自分で対処できる方法と、ベッドパートナーや隣で寝ている子供が金縛りにあっている場合の2通りの対処法があります。
- 自分でできる金縛りの対処法
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- 目を見開いてできるだけ意識的に目を動かし、体の目を覚めさせる
- 幻覚や夢か分からない場合は見えているものを目を凝らして見つめる
- 隣で寝ている子供やベッドパートナーが金縛りになった時の対処法
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- 声をかけたり体をさわるだけでOK。これだけで金縛りから解ける
ちなみに頻繁に金縛りが起こる場合は↑で言っているようにナルコレプシーやバセドウ病の疑いがあるので、こういった病気を治療していきます。
また金縛りの対策としては疲れやストレスをためすぎないということはありますが、個人差はあるようですが寝相を仰向け寝から横向け寝仰向けで眠るほうが金縛りにはなりにくい人もいるみたいです。
横向けで寝ることで仰向けで寝るよりも気道が狭くなりにくいため、金縛りが起こりにくいということだそうです。
関連記事:寝る時に正しい姿勢良い寝相はある?うつ伏せはあり得ない?
まとめ
- 金縛りが頻繁かつ長期間続くようであればナルコレプシーやバセドウ病等を疑ってみる
- 金縛りになったときの対処としては目を良く動かすこと
- 金縛りの対策としては寝相を仰向けよりも横向けのほうがなりにくい
ちなみに金縛りは海外でも「KANASHIBARI」といった日本語で広く認知されています。
もちろん海外でもUFOに乗ってきた宇宙人が体のうえに乗っているという表現もありますが、適切な表現がないようです(厳密に言うと色々な表現方法があり、Googleで金縛り 英語と打つと
Sleep paralysisとは出ます)。
また成人になるまで日本人では約40%の人が金縛りを経験しているというデータもあり、金縛り=ナルコレプシーやバセドウ病とすぐに結び付けるのも少し大げさかもしれません。