寝る前に飲む飲み物によって睡眠の質は左右されます(飲む量によっても変わってきます)。
例えば、よく寝る前に飲むといいと言われる安眠・快眠作用があるホットミルクは、半分本当で半分嘘というのが実情です。
またカフェイン入りの飲み物でも寝る前に少し工夫すれば、飲んでも実は問題もなかったりするので、そういったことを詳しく解説しています。
この記事の目次
寝る前に飲むといいとされるホットミルクは眠れる飲み物?ホットミルクの嘘と本当。
まず寝る前に良い飲み物としてホットミルクがよく挙げられますが、飲むと眠れるというのは半分本当で半分嘘と言ってもいいと思います。
というのも最近、牛乳に含まれているトリプトファンを摂取することで、睡眠ホルモンのメラトニンに変化すると言われていますが、摂取したトリプトファンからメラトニンになるまでは実は約10時間ほどの時間が必要で、就寝直前に飲んだところで睡眠ホルモンのメラトニンは分泌されません。
※↑の記事でも書いていますが、トリプトファンは脳に運ばれセロトニンになり、そのセロトニンが代謝されてやっとメラトニンになります。牛乳以外にも大豆やお肉などにもトリプトファンは入っていますが、牛乳と一緒でメラトニンになるまで同じくらい時間がかかり、朝やお昼の時間帯に摂取しないと夜には間に合いません。
なので、眠る直前にホットミルクを飲むことで、睡眠ホルモンのメラトニンに変わることは考えにくいというのが正直なところです。
とは言っても温かい飲み物(ホットミルク)は体を暖めて深部体温を一時的にあげるので、睡眠に全く効果がないわけではありません。
また牛乳のカルシウムやペプチドというたんぱく質には、イライラや自律神経を調節する働きもあるので、間接的に睡眠を促す飲み物であることは間違いありません。
ですので、考え事やイライラで眠れない方には効果のある飲み物であることは確かです。
メラトニンが入っている牛乳もある?
また、ナイトミルクといってメラトニンが直に入っている牛乳もあります。
夜中に牛から絞ることのできる牛乳で、北欧を中心に売られています。以前はネムーという商品が日本でも売られており、2010年頃に販売停止になり日本では既に売られていません。
北欧には太陽が沈まない白夜があり、その白夜の影響で不眠症患者が多く、メラトニンが多く入っているナイトミルクが睡眠薬代わりに飲まれています。
寝る前のカフェイン入りの飲み物は緑茶は実はOK?コーヒーも使い道によってはあり?
そして寝る前や夜に飲むと絶対眠れなくなると言われているのが、コーヒーや緑茶などのカフェインが入った飲み物です(できるなら就寝4時間前ぐらいからはカフェインは取らないほうがいい)。
コーヒーや緑茶も含めですが、以下のような飲み物がカフェインが入っています。
緑茶(玉露) | 180mg |
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コーヒー(ドリップ) | 100mg |
コーヒー(インスタント) | 65mg |
紅茶 | 30mg |
緑茶(煎茶) | 30mg |
ほうじ茶 | 30mg |
番茶 | 15mg |
玄米茶 | 15mg |
栄養ドリンク | 75mg |
コーラ | 12mg |
※150mlあたりのカフェインの含有量です。
またアイスコーヒーやコーラなど冷たくして飲むわけですが、冷たいカフェイン入り飲料は、胃や小腸を冷やしてカフェインの分解を遅らせるので寝る前だけではなく午後3時以降に飲むには注意が必要です。
ちなみにこういったお茶などでカフェインが入っていないものでは、麦茶、ハーブティー、黒豆茶、ルイボスティー等があります。
最近では栄養ドリンクでもノンカフェイン(デカフェイン)と謳っているものもありますし、タンポポコーヒーなどのノンカフェインコーヒーもあるのでそういったものを飲むのもありです。
緑茶も飲み方次第ではOK?コーヒーも使い道によってはあり?
またどうしても緑茶が飲みたいという方は、緑茶なら3番煎茶(出がらし)であれば、カフェインはほとんどないので、寝る前に飲んでも眠りの妨げになりません。
流石に出涸らしはちょっと…という方には、ノンカフェイン緑茶もありますし、緑茶ではなく麦茶ですが、テアニン麦茶と言う鎮静効果のあるテアニンが多く含まれている麦茶も売られています。
※緑茶を飲むとほっとしたりするのは、テアニンが入っているためです。このテアニンが安眠や快眠に一役買ってくれます。
そしてコーヒーは飲むのはさすがにNGですが、香りだけなら実は鎮静作用やリラックス効果があり、嗅ぐだけなら覚醒作用はありません。
ですので、既に使ってドリップした粉orまだ挽く前のコーヒーどちらでもいいので、寝室に置いておくだけでも香りだけでリラックスできるはずです。
寝る前の1杯の水は睡眠には理想的な飲み物?飲み方次第では逆効果?
そして参考程度ですが、寝る前の1杯の水は睡眠に限らず「医者殺し」や「宝水」と言われるほど体の健康にとっては非常に良い習慣と言われています。
とりわけ睡眠に関して言えば、眠る直前は汗をかき一旦体温を上げ熱を放熱することで、一気に体温を下げて眠りにつくような仕組みになっています。
ですが体に水分が足りないと、脱水症状を起こし睡眠の質が悪くなったり、喉の乾き等で夜中に目覚めたり(中途覚醒等)、また血液が粘りっこくなるので、血管が詰まりやすくなってしまい、血管障害の疾患にかかりやすくなってしまいます。
寝る前の水は飲み方次第で睡眠には逆効果?
「こたつや電気毛布で寝ると何故体に悪い?不眠症になる?!」記事でも書いていますが、寝る前の理想的な水の飲み方としては、5℃~15℃程度の水温の水をコップ一杯200ml程度飲むのが理想的な飲み方です。
そして重要なのは水温と水の量で、氷を入れて冷たくし過ぎたり、量が多すぎてもよくありません。500ml以上の水を就寝前に飲んでしまうと、逆に睡眠中に筋肉が疲労したり、飲みすぎの利尿作用で、夜中にトイレに頻繁に起きることになります。
さらに気を付けたいのはお風呂上りに冷たい水を大量に飲んでしまうと、急激な温度変化で交感神経が優位に働いてしまうので、せっかくお風呂でリラックスして副交感神経※が働いて入眠準備ができた体が、逆に興奮し活動的になってしまい寝つきが悪くなります(入眠障害)。
※眠るときは副交感神経が優位に働き、日中は活動的な交感神経が働きます。
また夏バテ気味で胃腸の疲れからくる不眠の場合は、眠る前に体温に近い温度の白湯を飲むと胃腸の機能が回復しやすいと言われています。
ですので、お風呂の40℃程度のお湯の温度が丁度いい温度なので、夏バテ気味でどうも眠れないという方はコップ一杯の白湯を飲んでみましょう。
また寝る前の水は晩酌でアルコールを摂取したときにも有効で、睡眠中の脱水症状や寝起きの頭痛、飲みすぎによる朝の吐き気なども防いでくれます。
「寝酒の効果は寝つけない人にはok?でもデメリット多すぎ?!」の記事でも書いていますが睡眠の質が悪くなるので寝る直前に飲む寝酒はNGです。
まとめ
- 寝る前のホットミルクは間接的に睡眠を促す効果はあるが、睡眠ホルモンのメラトニンは分泌されない
- 寝る前にカフェイン入りの飲み物を飲むならせめて就寝の4時間前or冷たいカフェイン飲料だと午後以降は飲まないほうがベター
- 寝る前の水は実は質のいい睡眠を取るには持ってこいの飲み物、胃腸疲れによる不眠ならお風呂の温度位の白湯が胃腸回復を促す
ちなみに水や白湯の代わりに、スポーツドリンク等の甘い清涼飲料水もなるべくなら寝る前には控えておいたほうがいいでしょう。
冷たすぎる水と一緒で、糖分が体を冷やす作用があるからです(もちろん、すべての糖分がというわけではありません)。