「最近、毎日深夜や夜中に何度も目が覚めて、そしてなかなか眠れない…」「寝ても2時間3時間ですぐに目が覚めるor2時間3時間ごとに目が覚める」…「疲れているのに目が覚めて眠れない」等…
こういった夜中にしばしば目が覚める症状等は不眠症の中途覚醒かもしれません。※途中覚醒、睡眠維持困難、深夜覚醒、睡眠中断、夜間覚醒とも言います。そして、この中途覚醒の夜中に何度も起きてしまう原因というのは多岐にわたっています。
生活習慣が原因なのか、睡眠障害が原因なのか、はたまた病気なのか、原因は非常に様々です。
この記事では中途覚醒の症状や原因について詳しくまとめています。
この記事の目次
中途覚醒の症状について|加齢が原因でなりやすく妊婦もなりやすい
まず、冒頭でも述べているように「夜中に何度も目覚めて目覚めた後、寝ようとしてもなかなか眠れない」というのが中途覚醒の主な症状です。
この夜間に何度も起きて、起きた後に寝ようとしてもなかなか眠れないことで、日中に眠気や体の疲れ(倦怠感)を感じたりします。※一度だけの目覚めでも、再度寝付きにくくなるのであれば中途覚醒です。
日本人では成人の15%がこの中途覚醒による不眠症を患っているといわれており、不眠症の症状の中で一番多いのがこの中途覚醒型の不眠症です。
加齢とともに中途覚醒はなりやすく、妊婦もなりやすい
そして、この中途覚醒は年齢を重ねるごとになりやすいのが特徴です。
加齢によって、睡眠が浅くなることでこの中途覚醒は起こりやすくなります。(加齢に伴い、ノンレム睡眠の3段階目と4段階目が減少し、睡眠全体的に眠りが浅くなっていきます)。
ただ「寝つきが悪い入眠障害の症状と原因とは?目の手術が原因?」の記事でも述べていますが、夜中に目が覚めて再び寝つけないということを、本人が苦痛に感じているかが重要です。仮に何度目覚めても再度眠りにスムーズにつけ、日中に疲れを感じていない等、日常生活に問題がなければ不眠症の中途覚醒には当てはまりません。特に前述しているように高齢者の場合は、眠りが浅くなり中途覚醒は普通に起こります。ただその中途覚醒に苦痛を感じているかどうかが重要なのです。
また妊娠の初期(つわり)の時期や妊娠中を通して、どうしても夜間頻尿が増えたり、妊婦に起こりやすい睡眠障害である周期性四肢運動障害なども起こりやすく、中途覚醒になりやすくなります。
こういった中途覚醒の原因には生活習慣や睡眠障害や病気等色々あるわけですが、大まかに言えば「眠りが浅い」ということが原因でこの中途覚醒は起こりやすくなります。
中途覚醒の原因として考えられる生活習慣や睡眠環境|日本にいながら時差ボケを起こしている?
例えば、生活習慣が原因で眠りが浅くなるというだけでも、以下のようなことが中途覚醒を引き起こす要因となっています。
- ストレスなど不安や心配事を考えて緊張状態で眠りに入った
- 寝る前のアルコールの摂取(寝酒)
- 寝る前のコーヒーやコーラ等のカフェインを含んだ飲み物の摂取or夕方以降に飲んでいる
- 夕食の食べ過ぎや寝る直前の食事
- 夜間の激しい有酸素運動
- 不規則な生活※時差ボケについて書いています
- 睡眠中の騒音
- 夜の明るすぎる部屋の電気や豆電球
- 眠る前のテレビやパソコン(スマホやタブレット)
- 睡眠時間が長すぎる
- 枕や布団(マットレス)等の睡眠環境による影響
- 季節などの睡眠環境の変化
1.ストレスなど不安や心配事を考えて緊張状態で眠りに入った
まず、生活習慣というものではありませんが、極度のストレスや不安や心配事を抱えながら眠ると、脳が覚醒状態に近いまま眠りに入り、睡眠が浅くなることで、中途覚醒を引き起こしやすくなります。
例えば、仕事の残業などで帰りが遅くなり、仕事モード(交感神経の働きが活発)のままでそのまま眠りについてしまうと、睡眠が浅くなりがちになります。
2.寝る前のアルコールの摂取(寝酒)
夜寝る前のアルコールは寝つきを良くする反面、それ以外に睡眠にとっていいことは一つもありません。
寝酒は、睡眠を浅くし、アルコールの利尿作用でトイレ覚醒も起こりやすくなり、またアルコールによる脱水症状で喉が渇いて夜間に起きやすくなります。
アルコールに限らず、すべての中途覚醒に共通することですが、睡眠が浅くなることで抗利尿ホルモンが分泌されにくくなり※、夜間頻尿が増えて、中途覚醒が増えてしまいます。
※抗利尿ホルモンとはおしっこを我慢するホルモンで、眠っている間はおしっこを我慢できるように通常はこの抗利尿ホルモンが働いています。ですが睡眠が浅くなることで抗利尿ホルモンが分泌が十分にされません。
→寝酒の効果は寝つけない人にはok?でもデメリット多すぎ?!
3.寝る前のコーヒーやコーラ等のカフェインを含んだ飲み物の摂取or夕方以降に飲んでいる
カフェイン入りの飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、栄養ドリンク等)を寝る前や夕方以降に飲むと、眠りが浅くなりやすくなります。
カフェインが睡眠物質のアデノシンをブロックする作用があり夜に飲むと寝つきが悪くなるというのが一般的ですが、カフェインを摂取すると眠りが浅くなるとともに深い眠りの回数が減ることも分かっています。
またアルコールと同様にカフェインには利尿作用があり、夜間頻尿も増えます。
特に夏場など冷たくして飲むカフェイン入りの飲み物は、カフェインの効果が長く続きやすいので夕方以降に飲む場合のカフェインも要注意です。
4.夕食の食べ過ぎや寝る直前の食事
夕食の食べ過ぎや寝る直前に食事をとることで、睡眠中も食べ物の消化を体が行うことになり、睡眠が浅くなることで中途覚醒が起きやすくなります。
睡眠中に食べ物の消化活動を行うことで、深部体温がいつまでも下がらずに深い睡眠に入ることが出来ません。
また体が食べ物の消化活動を行うことで、寝入りばなのゴールデンタイムに成長ホルモンも分泌されにくく、十分に体が休まらなかったり、睡眠不足になることで太る原因にもなります。
5.夜間の激しい有酸素運動
夜間勤務や不規則なシフトワークで働いていたりする人は別ですが、通常夜9時ぐらいになると徐々に深部体温が下がって、体が眠る準備を始めます(深部体温が低くなることで眠くなる)。
ですが、夜に激しい運動をすると交感神経が優位に働き、体の深部体温が上がり寝付きにくくもなり、また寝入っても深部体温が十分に下がらないことで睡眠も浅くなり、夜中に中途覚醒が起きやすくなります。
6.不規則な生活
夜勤や交代勤務などの不規則な生活が原因で睡眠時間等をコントロールしている睡眠恒常性が乱れ、眠りが浅くなり中途覚醒を起こしやすくなります。
こういった不規則な生活状況は時差ボケと同じで、現代の夜勤や交代勤務の方の不規則な生活で起こる症状は時差ボケと似ているため、インダストリアルジェットラグ(産業労働による時差ボケ)やソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)という言い方もされます。
7.睡眠中の騒音
睡眠中の騒音は、特に持続する連続音よりも、突発的に発生する衝撃音のほうが中途覚醒が起こりやすいといわれています。
高齢者は特に些細な物音で起きるほど睡眠が浅いです。
連続する持続音、いわゆる冷蔵庫の音などの生活音は慣れてしまえば、中途覚醒は起こりにくいとされています。
ですが、連続する持続音は中途覚醒が起こった際に、再度寝付きを悪くすることもあります。
8.夜の明るすぎる部屋の電気や豆電球
夜の時間帯になると徐々に睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されだしてきます。
ですが、夜に激しい光に当たるとこのメラトニンの分泌量が下がります。このメラトニンの分泌量が下がることで眠りが浅くなり、中途覚醒を起こしやすくなります。
また、豆電球を付けて寝ている場合でもメラトニンが減少して浅い睡眠になりやすくなります。
ちなみに豆電球をつけて寝ている人と、ほぼ真っ暗で寝ている人との肥満の割合を調べると、豆電球を付けて寝ていた人のほうが、1.9倍も肥満の割合が多かったという研究結果があります(奈良県立医科大学)。
光の刺激で睡眠が浅くなることで、成長ホルモンの分泌が阻害されたり、また食欲増進ホルモンの分泌が活発になるのではないかと言われています。
9.眠る前のテレビやパソコン(スマホやタブレット)
そして夜の部屋の明かりや豆電球以外にも、夜に見るテレビやパソコン(スマートフォンやタブレット)の光でも、メラトニンの分泌を抑制してしまうために、眠りが浅くなり中途覚醒を起こしやすくなります。
メラトニンの分泌量が下がること以外にも、熱中してテレビを見ることで交感神経が刺激されて体が興奮状態になってしまい、睡眠自体が浅くなり中途覚醒が起こりやすくなります。
10.睡眠時間が長すぎる
極端に睡眠時間が長い場合は、全体的に睡眠は浅くなりやすくなり、中途覚醒を起こしやすくなります。
↑の記事でも書いていますが、特に高齢者の方は若いころと同じように8時間眠ろうとしても、8時間もなかなか眠れません。もちろん若い方でも長すぎる睡眠が原因で眠りが浅くなり、中途覚醒を引き起こしやすくなります。
特に加齢によって筋肉量が減るので、筋肉量が減るとエネルギーを使う量が減るので、そもそも睡眠が浅くなります。
11.枕や布団(マットレス)等の睡眠環境による影響
枕や布団(マットレス)が合わないせいで、中途覚醒を引き起こしている場合もあります。
例えば、枕に頭だけをのせ、首や肩が浮いた不安定な状態で寝てしまうと、宙に浮いている首や肩を支えるために交感神経が活発に働いたり、身体の違和感で夜中に目が覚めてしまったりすることがあります。
ちなみに低反発マットレスは低反発ウレタンに反発力がないために寝返りをできにくくすることが稀にあり、寝返りをスムーズにできないことで睡眠が妨げられ、中途覚醒を引き起こしてしまいます。
12.季節などの睡眠環境の変化
夏の高温環境では入眠してからの中途覚醒が増加しやすく、特に睡眠前半に中途覚醒が見られることがあります。
夏の高温環境の場合、皮膚の表面温度が高いので、深部体温の低下がしにくいことが原因で睡眠が浅くなり、中途覚醒を引き起こしやすくなります(特に高齢者の場合は、体温調節機能も低下するため、若い人が影響が少ない室温でも、高齢者は覚醒しやすくなります)。
また、冬なら電気毛布をつけっぱなしで眠ることで、身体の深部体温が下がりきらず(放熱不良)に睡眠が浅くなることで、中途覚醒を引き起こしやすくなります。
そして寒い時期には靴下を履く人も多いですが、締め付けのキツイ靴下などは放熱不良が起こりやすくなり、睡眠が浅くなることで中途覚醒を引き起こしやすくなります。
中途覚醒の原因として考えられる睡眠障害や病気|睡眠時無呼吸症候群など
そして生活習慣の他にも、睡眠障害や病気が原因で中途覚醒を引き起こされることもあります。
中途覚醒の原因として考えられる睡眠障害
睡眠時無呼吸症候群 | 夜間の睡眠中に無呼吸/低呼吸になることで、睡眠が浅くなり中途覚醒しやすくなる。睡眠時無呼吸症候群特有の自分のイビキがうるさくて、夜間に頻繁に目覚めることもある。自覚のない中途覚醒もある。寝酒をすると睡眠時無呼吸症候群になりやすい。 |
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周期性四肢運動障害 | 周期性四肢運動障害は、寝ている間に手足がピクピク動くことで、脳が覚醒し目覚めやすくなり、中途覚醒を起こしやすくなる。睡眠時無呼吸症候群と同様に自覚のない中途覚醒がある。 |
こういった睡眠障害で睡眠が浅くなることで、浅い睡眠のレム睡眠が多くなり、中途覚醒を引き起こしやすくなります。
またレム睡眠が増えることで、レム睡眠関連の睡眠障害(悪夢障害やレム睡眠行動障害)等も複合的に起こりやすくなり、夜中に何度も目を覚ます頻度が高くなります。
ちなみに睡眠障害の中でも睡眠時無呼吸症候群によるイビキや睡眠時の歯ぎしり等は、ベッドパートナーの中途覚醒の原因にもなるので注意が必要です。
→歯ぎしりの原因とは?別の睡眠障害が原因になっている?
中途覚醒の原因として考えられる病気
- 呼吸器疾患…慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息
- 循環器疾患…高血圧、虚血性心疾患、うっ血性心不全
- 胃腸疾患…胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 内分泌系…糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症
- その他…前立腺肥大、アトピー性皮膚炎、うつ病
引用元: 不眠症の原因とは?一番多い原因は何?
特に前立腺肥大や尿路感染症などの泌尿器系の疾患がある場合は、尿意によって中途覚醒が生じやすくなります。
また、うつ病による不眠では「早朝覚醒」が有名ですが、中途覚醒も見られます(入眠障害も見られます)。
高齢者の場合は、退職後生きがいを見いだせないために、うつ状態になることもあり、こういった精神疾患が原因で中途覚醒になることもよくあります。
まとめ
- 夜中に何度も目覚める中途覚醒は高齢者や妊婦はなりやすい
- 年齢を重ねると夜中に何度も目覚めることは自然なこと、ただその後眠りにつけないことで苦痛を感じたり、日中に睡眠不足などの影響が出れば問題あり
文中でも触れていますが、自覚のない中途覚醒は夜中に何度も起こっています。
人によってはこういった自覚のない中途覚醒が5~10分続くこともあり、夜間の睡眠中に頻繁に起こることもあります。