服用時に薬の副作用で眠気を感じる薬剤や、反対に副作用で不眠が生じやすい薬剤を一覧表にして紹介しています。
また眠気と不眠の両方の副作用がある薬剤も中にはあるので、参考にしてみてください。
副作用で眠くなる薬とは?
まずは、薬の副作用で眠気が生じる薬についてです。
- 抗ヒスタミン薬
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- ジフェンヒドラミン(ベナ、レスタミンコーワ)
- クロルフェニラミン(ポララミン)
- プロメタジン(ヒベルナ、ピレチア)
- シプロヘプタジン(ペリアクチン)
- ヒドロキシジン(アタラックス)
- 抗アレルギー薬
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- エピナスチン(アレジオン)
- オピオイド鎮痛薬
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- モルヒネ
- 抗不安薬
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- ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)
- エチゾラム(デパス)
- 抗てんかん薬
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- カルマゼピン(テグレトール)
- バルプロ酸ナトリウム(デパケン)
- 抗うつ薬
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- イミプラミン(トフラニール)
- ミアンセリン(テトラミド)
- ドーパミン製剤
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- レポドパ(ドパストン、メネシット、マドバー)
- ドーパミン受容体刺激薬
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- プラミペキソール(ビ・シフロール)
- タリペキソール(ドミン)
- ぺルゴリド(ベルマックス)
※()無しは一般名、()は商品名。
抗ヒスタミン薬は風邪薬に使われている成分で、この副作用を利用したものが市販の睡眠薬(正確に言うと睡眠改善薬)です。※主にジフェンヒドラミンが使われています。
ちなみに、うつ病による不眠の場合は睡眠薬ではなく抗うつ薬のみが処方されることがあります。これは抗うつ薬の副作用である眠気を利用しているためです(不眠やうつの症状が軽度な場合)。
そしてドーパミン受容体刺激薬のプラメキソールはパーキンソン病治療薬の一つで、ナルコレプシーのような睡眠発作が起こる副作用があります。
→急に眠たくなる病気ナルコレプシーの症状とは?目覚めは良好!?
またドーパミン製剤のレポドバは眠気の副作用とは反対に不眠の副作用もあります。※後述しています。
副作用で不眠になる薬とは?
そして、眠気が起こる薬とは反対に薬の副作用として不眠が生じる薬もあります。
また、↑で触れているようにドーパミン製剤(パーキンソン病治療薬)のレポドバは眠気を感じる副作用の他にも不眠の副作用があります。
※↓の表の赤色で書かれている症状は不眠以外の症状です。
- 中枢性刺激薬
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- メチルフェニデート(リタリン)
- モダニフィル(モディオダール)
- ペモリン(ベタナミン)
寝ても疲れが取れない熟眠障害が起こりやすい
- 抗うつ薬
- 【SSRI】
- パロキセチン(パキシル)
- セルトラリン(ジェイゾロフト)
- フルボキサミン(デプロメール)
- エスシタロプラム(レクサプロ)
【SNRI】
- デュロキセチン(サインバルタ)
- 抗精神薬
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- アリピプラゾール(エビリファイ)
- 抗てんかん薬
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- ラモトリギン(ラミクタール)
- ゾニサミド(エクセグラン)
- 降圧薬
- 【交感神経抑制薬】
- クロニジン(カタプレス)
- メチルドパ(アルドメット)
- レセルピン(アポプロン)
【アンジオテンシン2受容体拮抗薬】
- イルベサルタン(イルベタン、アバプロ)
- ロサルタン(ニューロタン)
【β遮断薬】
- アテノール(テノーミン)
- プロプラノロール(インデラル)
悪夢を見やすい
- 利尿薬
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- ヒドロクロロチアジド(ヒドロクロロチアジド錠「トーワ」)
- トリクロルメチアジド(フルイトラン)
- 高脂血症薬
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- アトルバスタチン(リピトール)
- ロスバスタチン(クレストール)
- コレスチラミン(クエストラン)
- パーキンソン病治療薬
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- レポドパ(ドパストン、メネシット、マドバー)
- セレギリン(エフピー)
- ペルゴリド(ペルマックス)
- アマンタジン(シンメトレル)
悪夢を見やすい
- 呼吸器用薬
- 【β刺激薬】
- サルブタモール(アイロミール、ベナリール、サルタノール)
【気管支拡張薬】
- テオフィリン(テオドール、ユニフィル)
- 抗認知薬
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- ドネペジル(アリセプト)
- ガランタミン(レミニール)
- リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)
- 抗コリン薬
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- トリヘキフェニジル(アーテン)
幻覚、妄想、不安を感じやすくなる
- 副腎皮質ホルモン
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- プレドニゾロン(プレドニン)
- ベタメタゾン(リンデロン)
抑うつ
※()無しは一般名、()は商品名。
上の表以外にも、「非ステロイド性消炎鎮痛薬」「ニューキノロン系抗菌薬」「ステロイド製剤」「甲状腺ホルモン」「ジギタリス製剤」「ノルアドレナリン作動薬」「免疫抑制薬」「抗腫瘍薬」なども副作用として不眠の症状があります。
副作用で不眠になる漢方薬とは?
そして、漢方薬の副作用として不眠が生じることもあります。
- 不眠が生じる副作用がある漢方薬
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- 葛根湯(かっこんとう)
- 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
- 麻黄湯(まおうとう)
表に挙げている漢方薬に共通するのは、麻黄(まおう)という生薬が含有している点です。
この麻黄にはエフェドリンという成分が入っていて、このエフェドリンには交感神経※を優位にする働きがあります。
※通常、眠りにつくときには副交感神経が優位に働くようになっていて、日中の活動的な時間は交感神経が優位に働いています。
もちろん、麻黄が含有している漢方薬は他にも多数ありますが、比較的多く含まれていて、なおかつ不眠が生じる可能性のある漢方薬をピックアップしています。
関連記事:不眠に効く漢方薬-睡眠薬との違いとは?
まとめ
- うつによる不眠の場合は、抗うつ薬の副作用である眠気を逆に利用することもある
- 副作用で不眠になる薬は中枢神経興奮作用の薬が多い
- 漢方薬でも麻黄(まおう)の含有が多い漢方薬だと不眠が生じることがある
また処方箋が必要のないドラッグストアやコンビニで購入できる一般用医薬品にも副作用として不眠が生じるものがあります。
例えば、無水カフェインなどが入った頭痛薬(イブクイック等)や、キサンチン類の咳止め薬(アネトン)等です。