むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群、もしくは下肢静止不能症候群ともいう)の原因や発症のメカニズムは、実は完全に分かっているわけではありません。
ですが、脳が関係していたり、なりやすい人の特徴(年齢や性別や抱えている疾患・病気)などはある程度は分かっています。
また他の病気で飲んでいる薬なども原因になっている場合があり、自分はどういった原因でむずむず脚症候群になっているかを知っておく必要があります。
この記事の目次
むずむず脚症候群の原因は実は分かっていないが脳が関係している?
まずこのむずむず脚症候群の原因ははっきりとしたメカニズムなどは分かっていませんが、脳の異常によるものだと考えられています。
言われるのは以下の2つです。
- 体の運動を制御するドーパミンの合成異常?
- 脳に鉄分が不足している?
体の運動を制御するドーパミンの合成異常?
その中でも脳のドーパミンと言うのはよく聞く物質と思いますが、このドーパミンは神経伝達物質で体の運動を制御する働きを持っています。
この運動を制御する神経伝達物質であるドーパミンが何らかの理由で合成されなくなり、足や腕が勝手に動き、ムズムズ感や蟻(あり)等の虫が足の中にはっているような感覚をおぼえてしまうと考えられています。
また↑の関連記事でも書いているように、むずむず脚症候群と合併しやすい周期性四肢運動障害もこのドーパミンの合成異常によって起こると考えられています。
脳に鉄分が不足している?
そしてこの鉄分不足は、↑でのべているドーパミンと関係しています。
この鉄分はドーパミンの合成に関係していて、鉄分が不足すると脳でドーパミンが合成が妨げられてしまいます。
後述もしますが、このむずむず脚症候群の症状が見られる方には、鉄欠乏性貧血や人工透析患者が多いため鉄分不足が大いに関係していると考えられています。
むずむず脚症候群になりやすい人の特徴や病気等、女性や高齢者がなりやすい?
そしてこのむずむず脚症候群になりやすいのは、男性よりも女性のほうが多いのが特徴です(男性と比べ女性のほうが約1.5倍と発症率が高いと言われ、特に年齢では60歳~70歳代に最も多い)。
その他にも…以下のような方々はこのむずむず脚症候群になりやすいと言われています。
- コーヒーやカフェインを多く摂取する人
- 妊婦
- 若い方よりも高齢者のほうがなりやすい
- 鉄欠乏性貧血患者
- 人工透析患者(腎機能障害も含む)
- 関節リウマチ患者(末梢神経障害)
- パーキンソン病
- 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
- 椎間板ヘルニア等…
特に高齢になればなるほど、症状が酷くなっていく傾向があります。
むずむず脚症候群の原因は遺伝?
また家族内発症(両親や兄弟、姉妹)いわゆる遺伝で、このむずむず脚症候群になる人もいます。
特に遺伝の場合は、若年(45歳よりも下の年齢)で発症することが多く、若年で発症した場合には高齢発症の方よりも症状は非常に緩やかです。
その為、若いころに発症したとしても自覚症状がなかったり、また毎日足がムズムズするわけでもないので、加齢によってこの症状が悪化していくことがあります。
むずむず脚症候群は服用している薬が原因になることも?
またこのむずむず脚症候群になる原因としては、現在服用している薬が原因で起こっていることも考えられます。
ドーパミン阻害薬 | 主に胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍で吐き気や食欲不振が酷い時に処方される薬 |
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抗うつ薬 | うつ症状や不安障害などに処方される薬 |
抗ヒスタミン薬 | アトピーや喘息などのアレルギー症状の方に処方される薬 |
特に↑薬が原因でむずむず脚症候群になる人や、↑でも述べているむずむず脚症候群になりやすい病気の人の多くは、高齢での発症が多くなります。
まとめ
- むずむず脚症候群の原因ははっきりと分かっていないが、脳のドーパミンと鉄分不足が関係している
- むずむず脚症候群になりやすい人は高齢の女性や妊婦など、遺伝の場合は若年での発症が多い
- むずむず脚症候群は胃炎や胃潰瘍、うつ、アレルギーの薬を服用していると副作用でなることもある
また一時的にですが、何らかの手術後にこういったむずむず脚症候群になる人もいます。
原因としては、手術時に背骨の中の脊髄に麻酔をかけることで脊髄を圧迫し、むずむず脚症候群の症状が起こると考えられているからです。
こういった脊髄を圧迫する病気には↑で挙げた脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア等があります。