睡眠時無呼吸症候群には大きく分けると閉塞性と中枢性の2種類があります。
一般的に知られている睡眠時無呼吸症候群は9割が閉塞性です。
この記事では主に残りの1割である中枢性の睡眠時無呼吸症候群の種類や症状、原因について詳しく書いていみました。
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この記事の目次
中枢性睡眠時無呼吸症候群の種類、山登りする人も関係あり?
まず、この中枢性睡眠時無呼吸症候群(以下CSA)には色々と種類があります。
- 原発性中枢性睡眠時無呼吸
- チェーンストークス呼吸パターン
- 高地周期性呼吸
また薬物によるものや、乳児や幼児特有の中枢性睡眠時無呼吸症候群もあります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群と比較して中枢性は合併症状が少ない?
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、↓の記事でも書いている通り様々な病気を合併症状として出てしまいます。
ですが中枢性のCSAは、この閉塞性のOSAと比較して無呼吸状態からの急激な酸素の吸い込みがほとんどありません。
ですので、血管を傷つけることが少なく、脳卒中や心臓病などの心循環器系の合併症になる割合が閉塞性のOSAと比べて低いとされています。
中枢性睡眠時無呼吸症候群の症状は睡眠中だけではない?
後述もしますが、脳からの指令が出ないことでCSAの場合は睡眠中に無呼吸/低呼吸になってしまい、睡眠中・日中に影響する症状も閉塞性のOSAとほとんど変わりません。
- 睡眠中…中途覚醒(自覚のない覚醒も含め)、無呼吸/低呼吸が原因で呼吸が苦しくて目を覚ます
- 日中…強い眠気、集中力の低下、倦怠感、疲労感
ですが、このCSAの特徴はOSAと比較して一番違うのはイビキが生じない点です。
閉塞性(OSA)のタイプと比べると分かりやすいと思いますが(↓の表)、中枢性は胸と腹部の呼吸運動がスムーズに行えていないことで、睡眠中に無呼吸/低呼吸の症状が出てしまいます。
CSA(中枢性) | OSA(閉塞性) | |
---|---|---|
胸と腹部の呼吸 | 運動運動していない | 運動している |
鼻と口の換気 | できていない | できていない |
逆に閉塞性の場合は、単に気道が塞がっているだけで胸や腹部の呼吸運動は行えている状態です(気道が塞がり、呼吸の換気が鼻と口でできないことでイビキが生じます)。
もちろん、このCSA(中枢性)とOSA(閉塞性)の混じった混合性のタイプもあったりするので、そういった場合は一緒にイビキをかくこともあります。
症状は睡眠中だけではない?
また少し原発性のCSAとは少し脱線しますが、同じ中枢性の無呼吸症候群には↑でも挙げたチェーン-ストークス呼吸パターンというものがあります。
このチェーン-ストークス呼吸パターンは睡眠中や日中の起きている時間問わず、無呼吸状態が起こってしまう症状です。
もう少し具体的に言うと、無呼吸→低呼吸→普通の呼吸→大きい呼吸→無呼吸…のような交代制の呼吸が繰り返される症状で、心不全になると3割~4割の方にこういったチェーン-ストークス呼吸パターンが見られます。
中枢性睡眠時無呼吸症候群の原因とは?更年期の女性は発症のリスクあり?
またこのCSAになってしまうのは、脳幹部の呼吸中枢の機能異常が原因ですが、何故脳の機能異常が起こるかは分かっていません。
ですが、↑でも述べたように心不全や脳血管疾患などの疾患との関連があることだけは分かっていて、加齢に伴って、このCSAにかかる頻度は高くなることも分かっています。
更年期の女性は発症のリスクあり?
そして、このCSAに案外更年期の女性に発症リスクがあります。※↓の記事でも少し触れています
というのも、女性ホルモンの1種にプロゲステロンという呼吸中枢を刺激する働きのあるホルモンがあるのですが、閉経後の女性はこのプロゲステロンの分泌が少なくなるため、CSAになりやすいと言われています。
特に閉経後の女性は発症率が高いことも分かっていて、発症率は何と3倍以上です。
通常女性の場合、男性よりもこのCSA(SAS全体でも)は発症が少ないと言われているのですが、それはプロゲステロンが呼吸の働きを助けているためなわけですね。
まとめ
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群は閉塞性(OSA)と比較して合併症状が少ない
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群の症状はイビキがほとんど生じないのが特徴
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群は女性はなりにくいが更年期の女性は発症リスクがある
中枢性の治療法は基本的には、閉塞性と同じCPAP治療法が一般的です。
ですが、十分な効果が見られないこともあり、非侵襲的陽圧換気療法などの人工呼吸器を使った治療法などがあります。
※また治療については加筆していきます。