質のいい睡眠をとるために食事は非常に大切なものです。特に眠気のホルモンと呼ばれるメラトニン等がありますが、こういったホルモンの分泌は体内時計が管理しています。
そして、この体内時計を調節しているのが何を隠そう食事なのです。
特に最近十分に眠れているはずなのに疲れが取れない方や、少し不眠に悩まされている方等、どういった食べ物が質のいい睡眠や、また不眠に効くのかどうか気になるところですね。
というわけで、睡眠に良くて不眠にも良い食べ物を紹介していきたいと思いますが、どのタイミングでどういった食事をするかが非常にカギとなります。
この記事の目次
睡眠や不眠に良い食べ物は朝食から摂取!?熱い味噌汁がカギ!
睡眠や不眠に良い食べ物と言うと夕食にどういったモノを摂取するといいかと考えがちですが、実は朝に食べる物で、その日の睡眠の質などが変わってきます(もちろん、夕食にどういったものをとるか?も重要で後述しています)。
特に朝に積極的に摂取したいのは、大豆やチーズ等の食品のタンパク質に多く含まれているトリプトファンという必須アミノ酸の1種です。
トリプトファンは睡眠ホルモンであるメラトニンのもととなる栄養素で、摂取してから10時間以上かけて、睡眠ホルモンであるメラトニンに変わります※、その為、朝に摂取することが理想です。
※厳密に言うと、トリプトファン→セロトニン→メラトニンと再合成されていきます。
トリプトファンを含む食べ物やトリプトファンを効率よく吸収するための食べ物
トリプトファンが多く含まれる食べ物には、以下のような食べ物があります。
- トリプトファンが多く含まれる食べ物
- 大豆(納豆、豆腐、味噌汁)、卵、牛乳、赤身の魚、ナッツ、バナナ
ちなみにこのトリプトファンを効率的に摂取するには、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムの栄養素を同時に摂取することでセロトニンとメラトニンを非常に効率的に合成しやすくなります。
- ビタミンB6が多く含まれる食べ物
- 赤ピーマン、サツマイモ、バナナ、卵、ブロッコリー等
- マグネシウムが多く含まれる食べ物
- ボウ、ホウレンソウ、長ネギ、ブロッコリー等
- ナイアシンが多く含まれる食べ物
- エリンギ、シメジ、マイタケ、エノキダケ、カイワレ大根、豚肉等
朝の理想的な食事例
なので、現実的な朝の食事を考えると、例えばこんな感じになりますね。
- 納豆ご飯(トリプトファンと炭水化物)
- 豆腐と長ネギ入りの味噌汁(トリプトファンとビタミンB6)
- 卵焼き(ビタミンB6)
- バナナ(トリプトファンとビタミンB6)
そして、仮に野菜等のおかずを合わせるときは大きめにざく切りにして、よく噛めるようにすると、よりトリプトファン→セロトニンの分泌を促す効果もあります。
またしっかりとご飯やパンなどの炭水化物と一緒に摂取しないと、脳にこのトリプトファンは送り届けられません。なので、かならずバランスの取れた食事をとることが大切です。
さらに目覚めを良くするためにはなるべく暖かい飲みものを飲むことで、朝から胃腸を刺激するため、体が一気に目覚めやすくなります。
ですので、熱いお味噌汁は体も目覚め、夜の睡眠に必要なホルモンであるメラトニンも分泌させるという2重の効果があるので、朝の味噌汁は1日の目覚めから睡眠までのカギとなる食べ物と言えます。
夕食に食べる睡眠や不眠に良い食べ物とは?体温を上げるがキーワード!?
また、夕食の際にも体が温まる食べ物を積極的に摂取することで、その日の夜の睡眠に非常にいい効果をもたらします。
通常、体の深部体温が下がることで眠たくなるように体の仕組みはできていて、その深部体温が下がる直前には体温を上げて汗をかき、そして深部体温を下げて眠りにつくようになっています。
特に夕食にカプサイシンの入ったキムチ等の辛い食べ物をとることで、深部体温をあげこの体温を下げるリバウンド効果で深部体温を下げ、眠りにスムーズにつけるようになるのです。
もちろんキムチ以外にも、以下のような料理は体の深部体温を上げます。
- 鍋料理(湯豆腐、水炊き、寄せ鍋、かき鍋)
- 生姜(ショウガ)を使った料理(豚肉の生姜焼き等)
特に、かき鍋などの魚介類を入れた鍋はおすすめです。牡蠣や海老、帆立などには体の深部体温を下げるグリシンというアミノ酸が多く含まれているからです。
また、冬であればキムチ鍋などは非常に睡眠との相性のいい夕食と言えますね。
ただ気を付けたいのは、寝る前にこういったキムチなどを食べると反対に交感神経が働き寝つきが悪くなるので、なるべく睡眠の3時間前に夕食はとりましょう。
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睡眠や不眠に良い食事は脂質や塩分が控えめな「ひらがな食」がおすすめ?
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのが記憶に新しいですが、脂質や塩分が控えめでヘルシーな和食は睡眠にも非常に相性のいい食事でもあります。
ですので、普段の食生活を「カタカナ食」から「ひらがな食」に変えるだけでも胃腸や体への負担が軽減し、体が健康的になり睡眠の質も良くなります。
ちなみに「ひらがな食」が和食で、「カタカナ食」が塩分や脂質の多い外国の食べ物です。
ひらがな食 | カタカナ食 |
---|---|
そば | ラーメン |
うどん | パスタ |
おにぎり | サンドイッチ |
お好み焼き | ピザ |
味噌汁 | スープ |
ぬか漬け | ピクルス |
フライ物 | 天ぷら |
ソース | 醤油 |
ケーキ | 饅頭 |
クッキー | せんべい |
こういった「ひらがな食」を最近では、豆類の「ま」、ごま類の「ご」、わかめなどの海藻類の「わ」、野菜の「や」、魚の「さ」、しいたけ等のきのこ類の「し」、芋類の「い」の頭文字をとって「まごわやさしい」というような言い方もされています。
まとめ
- 睡眠や不眠に食べ物は大豆などから摂取できるトリプトファン!特に朝に摂取すべし!
- 夕食をキムチや鍋などの体の暖まる食事にすることで、眠りにつきやすくなる
- 和食は胃や腸に負担をかけにくいので、眠れない人は「カタカナ食事」から「ひらがな食事」の和食中心にすることで睡眠の質が良くなるかも?!
ちなみに仕事を終えても、ずっと覚醒スイッチが入っていると、紹介したような朝食や夕食をとってもなかなか眠りにつけないというような状態になるときもあります(もちろん、そもそも重度の不眠症ということも考えられます)。
こういった場合は、チョコレートやアルコールを夕食前に摂取することで、覚醒モードから睡眠モードへ体をシフトすることがいくらかできます。
チョコレートやアルコールにはGABAというアミノ酸が入っており、こもGABAにはリラックスさせる効果があります。※寝る前のアルコールは体にはよくありませんが、晩酌する時間を就寝前の3~4時間あければ問題ありません。
→寝酒の効果は寝つけない人にはok?でもデメリット多すぎ?!
すごく効果があるわけではありませんが、どうしても仕事などの考え事が多くて眠れないという方は試してみる価値があります。