週末の土日や、休日にいつもよりも多く眠ったり、寝過ぎるという人は多いと思います。
こういった普段よりも長い時間眠ることを寝だめと言いますが、この寝だめにはどういった効果があるのでしょうか。
メリットやデメリットそれぞれあるわけですが、一般的な寝だめの仕方はでほとんどデメリットしかありません。なので合わせて正しい寝だめの方法も解説しています。
寝だめは実は寝だめではなく日頃の睡眠不足を補っているだけ?
まず寝だめと言うのは、厳密に言えば睡眠を貯めているわけではなく、日頃の睡眠不足を休日に多く眠ることで補っているにすぎません。
こういった睡眠不足を「睡眠負債(すいみんふさい)」ともいい、寝だめは正確に言うとこの睡眠負債を返済しているようなものなのです。
例えば、本来であれば7時間の睡眠が必要な人が、平日の月曜~金曜日まで毎日5時間ずつの睡眠時間しか取れていない場合に、10時間の睡眠負債が溜まります。
この10時間の睡眠負債を返済しようと、休日に多く睡眠時間をとるわけなのですが、これを寝だめをしていると勘違いしてしまうわけです。
睡眠負債はいつまで続く?
そしてこういった睡眠負債は2週間ほど続きます。
ただ2週間過ぎても自然とリセットされるわけではなく、どこかで耐えられない眠気を感じ眠ってしまうことでリセットされます。
なので、睡眠負債を解消するには眠るしかないわけです。
寝だめは効果はあるが基本は逆効果!?慢性化すると睡眠障害などのリスクも!?
ただ寝だめ(厳密には睡眠負債の返済ですが、分かりやすく寝だめで以下統一)には、たまった睡眠負債を返済し日頃の蓄積された疲労などをとる反面、デメリットもあります。
このデメリットというのは、睡眠のリズム(体内時計)が崩れ乱れてしてしまうことです。
通常、睡眠のリズムと言うのは起床時間を基準に、何時に眠たくなるのかが決まっています。
具体的にいえば、起床後15~16時間後に眠たくなりはじめ(睡眠ホルモンのメラトニンが分泌し始める)そこから1~2時間後に眠るというのが睡眠のリズムです。※もちろん個人差があります。
なので極端に遅い時間に起床してしまうと、眠たくなる時間が大幅にずれてしまい、寝だめをしたとしてもずれてしまった就寝時間に寝てしまうため、慢性的な睡眠不足になり、そして休日に寝だめをするというような、負のスパイラルに陥るわけです。
先程出した例を参考にすると、仮に平日で5時間の睡眠負債がある場合、土曜日にこの5時間の睡眠負債を返済するには、通常の7時間睡眠にプラスすると計12時間の睡眠が必要になります。
なので、就寝時間が夜中の12時と仮定した場合に起きるのは正午の12時になるわけです。
12時起床で眠たくなる時間を見積もると、明け方の3時や4時頃になるので、相当睡眠のリズムが崩れてしまいます。
寝だめをしてしまう人に隠れている睡眠障害とは?
そしてこういった寝だめを繰り返していると、睡眠のリズムが慢性的に乱れた状態の睡眠障害に陥ることになってしまいます。
具体的な睡眠障害と言えば、明け方にならないと眠たくならない睡眠相後退症候群という症状です。
また休日に寝だめを繰り返すことで一時は回復し、また平日に少ない睡眠時間をとることで、また寝だめを休日にすることを睡眠不足症候群とも言います。
もちろん、平日に自分が十分に睡眠をとっていても何らかの睡眠障害によって、中途覚醒が起こっていたりすることで、睡眠の質が浅くなっていて、寝だめを休日にしないと熟眠感が得られないようなことも考えられます。
例えば、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などは睡眠の質を低下させる睡眠障害です。
- 睡眠時無呼吸症候群(睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?SASは2種類ある?)
- 周期性四肢運動障害(睡眠中に足がピクピク痙攣する周期性四肢運動障害の症状や原因とは?)
なので、睡眠の質については関連する睡眠障害やどういった原因かと言いだすとキリがないので、自分がもしかしたら当てはまっている症状がどういったモノか、参考程度に見ておいてください。
寝だめをするなら効果的な2つの方法!
寝だめは良くないとは言っても、どうしても仕事の残業などで平日は満足な睡眠時間が取れない人もいますし、休みの日ぐらいは寝だめをしたいという方もいると思います。
そういった場合に有効な寝だめの方法として、2つの寝だめの方法があります。
就寝時間・起床時間を1時間ずつずらす寝だめ
まず1番手っ取り早くできるのが、就寝時間と起床時間を1時間ずつずらしてできる寝だめです。
例えば、
- 通常の就寝・起床時間…午前0時~午前6時(睡眠時間6時間)
- 1時間ずらした就寝・起床時間…午後11時~午前7時(睡眠時間8時間)
なので、本当は7時間の睡眠時間が必要な人が毎日6時間しか眠れていない場合5時間の睡眠負債があるので、2日間分けて睡眠負債を返すのが理想的です。
また起床時間が2時間以上ずれ込んでも、そこまで夜の睡眠時間に影響はないことが分かっているので、日曜日だけ午前8時に起きてもそこまで問題はありません。
ただ起床時間を遅らすことは簡単ですが、早く眠るというのが困難であれば、夕食にカレーやキムチなどの辛い食べ物を口にすることで、体の深部体温が急激に上がることで眠りにつきやすくなります(寝る直前の辛い食べ物は逆に交感神経が作用して眠れなくなります)。
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また睡眠3時間前までなら、筋トレやジョギングなどの激しい運動をして、適度に肉体的な疲労を得られるので激しめの運動はおすすめです。
睡眠負債が多い場合の寝だめの方法
そして2つ目が睡眠負債が多い場合の寝だめ方法です。この方法は基本的に日頃の睡眠負債が6時間以上ある人向け(※1)です。
基本的には起床時間をなるべく2時間以上遅らせずにまずは起きることです。そして起床後朝食を必ず食べ、太陽の光をできるだけ30分以上当たります(太陽の光は外に出なくてもいいので、窓から入る日差しでも構いません)。
これで体内時計(睡眠のリズム)がリセットできます。
それでもどうしても眠い場合は、午前中だけ睡眠をとるかor就寝時間の8時間前以上に90分程度の仮眠をとるかのどちらかの方法があります。
一見すると、寝てしまっては夜眠れなさそうですが、朝ごはんと太陽の光で睡眠のリズムがリセットされているので、朝方にならないと眠たくならないといったことは起こりにくいです。
(※1)もちろん、自分の理想的な睡眠時間は睡眠日誌を付けたりしないと分かりませんが、↑の1時間ずつずらす寝だめで効果がなければこちらの方法を試してみてください。
まとめ
- 寝だめは実施は睡眠不足(睡眠負債)を休日に多く眠ることで補っているだけ、睡眠を貯めることはできない
- 寝だめが慢性化していくと睡眠のリズムが崩れる睡眠障害になることもある(睡眠相後退症候群)
- 寝だめをするならなるべく起床時間をいじらずに就寝時間を早める
ちなみにブルーマンデーと言われる月曜日というのは、こういったまとめて寝だめをしてしまうために睡眠リズムが崩れて睡眠不足になって月曜を迎えるからと考えられています。
特にこういったブルーマンデーは短くても3日は続くので、非常に仕事や学業に支障が出てしまいます。
なので、挙げたような方法で寝だめをし、月曜日に支障が出ないように睡眠負債を解消しましょう。