夜眠っているのに大声を上げたり、隣に眠っている人(妻やパートナー)に暴力を振ったりと…
起き上がって逃げ惑う等…
寝ぼけているのに、このような暴力的な行動をとったりする原因はレム睡眠行動障害かもしれません。
レム睡眠行動障害の症状とは?夢を行動にうつす?
まずこのレム睡眠行動障害(略してRBD;REM sleep behavior disorder)は冒頭でも言っているような、寝ぼけ動き回って奇声をあげたり、寝室の壁を殴ったりするなど恐怖を感じるほどの暴力を振るったりする症状が特徴的です。
その他にも、
- 夜中大声で叫ぶ
- 隣で眠っている家族に暴力をふるう
- 自分の顔や腕をたたく
- 転倒して捻挫や骨折をしてしまう
また大きな声や体をゆすったりなどすれば、すぐに目が覚めます。
夢を行動にうつす?
そしてこのレム睡眠行動障害の一番の特徴は、夢の中で起きていることを現実に眠りながら行動してしまう点です。
通常、レム睡眠時は筋肉の活動を停止しているため体が動かないのですが(筋弛緩状態)、活動していない筋肉が何らかの刺激によって動いてしまうため、夢の中で起きていることを眠っているのに行動に起こしてしまうのです。
レム睡眠中の夢は脳の活動が異常に活発なため、ありえないような悪夢を見てしまいます。その為、誰かに追われて逃げ惑うような異常な行動等を起こしてしまいます。
レム睡眠行動障害の原因とは?6割以上は原因不明?
またこのレム睡眠行動障害の考えられる原因は、大きく特発性と症候性の2つに分かれます。
特発性レム睡眠行動障害 | 原因は不明 |
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症候性レム睡眠行動障害 | 神経疾患や薬物等により引き起こされる |
特発性は約6割を占めているのですが、はっきりとした原因が分かっていません。
反対に症候性はレム睡眠行動障害の原因の4割を占め、パーキンソン病やレビー小体型認知症、脊髄小脳変性症、シャイ・ドレーガー症候群等の脳幹部の神経疾患で多く見られます。
またこのレム睡眠行動障害の2~3割の患者が、パーキンソン病やレビー小体型認知症の前兆として現れることが確認もされています。
男女比率は男性多し!?
またこのレム睡眠行動障害の有病率は男女比で8:1で、男性が圧倒的に多いのが特徴です。
その中でも50~60歳以上の男性に見られることが多く、高齢者人口の有病率は0.5%~0.7%です。
お年寄りに多い「せん妄」と似た症状の為勘違いされることが多いですが、せん妄は持続時間が1時間以上と非常に長く、起こそうとしてもなかなか起きません。
レム睡眠行動障害の治療法とは?自然には治らない?
このレム睡眠行動障害は、ノンレム睡眠の睡眠時隋伴症の夢遊病や夜驚症のように自然治癒することなく、徐々に症状が悪化していきます。
そして治療方法は、2種類あります。
- 薬物療法
- 睡眠環境の調整
薬物療法
特発性のレム睡眠行動障害 | メラトニン、パロキセチン(パキシル)、抑肝散、ドネペジル(アリセプト)、プラミペキソール(ビ・シフロール) |
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症候性のレム睡眠行動障害 | クロナゼパム(リボトリール)、イミプラミン(トフラニール)、三環系抗うつ薬 |
睡眠環境の調整
そして2つ目が睡眠環境の調整です。厳密には治療ではありませんが、症状が出たときに事前に睡眠環境の危険を取り除くことが目的です。
具体的な方法としては…
- 家族の怪我などを防ぐため、パートナーとは別の部屋で寝る
- 寝室に落したら割れるものを置かない
- ベッドから転倒する恐れがあるため、高さが引くめのマットレスに変えてみる
もちろん、このレム睡眠障害についての治療にはパートナーや家族の協力が必要で、また理解が不可欠です。
まとめ
- レム睡眠行動障害の症状は大きい声を挙げ暴力などを振るうのが特徴
- レム睡眠行動障害の原因は60%は不明、40%は脳幹部疾患(パーキンソン病)の患者に多く見られ、その疾患の前兆としてあらわれる
- レム睡眠行動障害の治療法は薬物療法と睡眠の環境整備ではあるが、何よりも家族やパートナーの理解が必要
このレム睡眠行動障害はストレスやアルコールの過剰摂取でさらに悪化することが分かっています。
ですので、こういった普段の生活面での配慮も必要になってきます。